INTERVIEW

看護師インタビュー

専門的な知識と技術で感染症から地域を守る

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公立小野町地方綜合病院 感染管理認定看護師

遠藤 恭子さん

エンドウ キョウコ

Profile

感染管理認定看護師とは、感染症に関する専門知識と技術を備え、日本看護協会の認定を受けた看護師。新型コロナウイルスをはじめ、さまざまな感染症の治療と拡大防止のため活躍している。2022年夏から7ヶ月神奈川県にある北里大学看護キャリア開発・研究センターの教育課程を受講し、昨年12月に感染管理認定看護師に登録した遠藤恭子さんに、資格取得について聞いた。

  • コロナ禍で受験を決意、資格取得は2年がかり

    これまで当院は、新型コロナウイルス感染症のアウトブレイク(集団感染)を3回経験しました。昨年まで田村地区には感染管理認定看護師がいなかったので、その度に郡山市の病院から支援をいただいていたため「やはり地域の中に感染症のスペシャリストが必要だ」ということになり、病院側の勧めで、私が感染管理認定看護師の資格を取りに行くことになりました。

    県内の高度専門教育センター「感染管理認定看護師」教育課程が開講する前で、当時一番近くにあった神奈川県相模原市の北里大学で学ぶことにしました。2022年1月に申し込み、2月に受験。受験に備えては、参考書を見たり、web上で公開されている過去問を解いたり、細菌の学術名を覚えたり、感染症の発症事例を把握するなど、毎日2時間ほど確保して勉強していました。

    無事に教育課程に合格して、7月から翌年の2月まで7ヶ月間一人暮らしをして学業に専念。その後、10月に筆記試験、12月に合格発表があり、このたび無事に感染管理認定看護師認定証の交付を受けて認定看護師名簿に登録することができました。受験を決めてから、実に2年の歳月がかかっています。この間、家族と職場の方たちの理解と協力には心から感謝しています。

  • 基本を大切に、今後は、地域の指導・教育も推進

    現在は、病棟や病室内の見回り時に自分が気づいたことや、各職場の職員が困っていることを吸い上げ改善しています。ICT(感染対策チーム)で話し合ったことを感染対策委員会で提言し、承認を得て病院全体の取り組みに結びつけていきますが、なによりも「日々の積み重ね」が大切です。手洗いや、手袋・マスクといった個人防護具の使用方法など、標準的な感染予防策の職場研修を積み重ねるとともに、正しい換気や掃除の方法の周知徹底が必要だと感じています。

    ここ小野町には、さまざまな高齢者施設があり、感染症のクラスターが発生して困っているという情報が相次いで入ってきます。病院だけでなく、広く地域での指導、教育にも力を入れて地域全体で感染症対策していかなければなりません。残念ながら「感染症はなくならない」のを前提に、いかに人がうまく付き合うか、その方法をみんなで一緒に考えていくための働きかけをしていきます。患者さん、その家族、そして医療現場、介護の職場で働く人たち、地域の人みんなを守っていくために、感染管理認定看護師として得た知識を活かしていきたいと思っています。

取材者の感想

感染管理認定看護師になるためには、看護師免許を取得し実務経験を5年以上(うち、3年以上は感染管理の看護分野の実務経験)を積んだ上で養成課程を修了し、認定審査に合格する必要があります。看護職になって29年という遠藤さん。高校の衛生看護科を卒業して准看護師として10年働いた後、通信教育で2年学び看護師の国家資格を取得したそうです。「小学生の時から看護師になりたかった。この仕事が好きなので勉強は全く苦にならない。訪問看護の経験を通して、地域を守りたいという気持ちが強くなった」と話します。感染管理認定看護師となったことで、誰かのために、自分ができることがある充実感を一層感じているように見受けられました。

ライター 齋藤真弓
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