医療現場で活躍している看護補助者の仕事とは
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社会医療法人 秀公会 あづま脳神経外科病院 看護補助者
佐藤 未来さん
Profile
病院等で看護師の指示のもと専門的判断を要しない業務をする看護補助者は、特に資格は必要ない。人手不足が深刻な医療現場で、看護職が専門性を必要とする業務に専念するためにも、看護補助者に期待が集まっている。福島県の看護補助者養成講座を受講して、看護補助者として働いている女性に話を聞いた
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患者さんの一番近くにいるチーム医療の担い手
私が現在、病院で担当している業務は、ベッドメイク、入浴介助、検査時の搬送、食事介助、口腔ケア、おむつ交換、入院時のアメニティ物品の準備などです。患者さんが少しでも安心して入院生活が送れるように、病院のチームの一員として、業務にあたっています。例えば、入浴介助で背中を流している時に、患者さんの皮膚が赤くなっているのを見つけることがあります。そういった時はすぐ看護師に報告して確認をしてもらいます。排泄介助の時に、いつもより患者さんの身体の動きが悪くなっていることに気づいて、早めに治療につないだりすることもできます。患者さんの近くにいるからこそ、「いつもとは違うな」と早めに感じ取り、判断を仰ぐことができるのです。
看護補助者から准看護師や看護師の資格を目指す人もいますが、私はこの仕事が好きなので、このまま続けていくつもりです。私は先天性の難聴があり、子どもの頃は入退院を繰り返していました。看護師さんや親がそばにいない時に、さりげなく看護補助者の方が私に話しかけてくれたり、遊び相手になってくれたのを覚えていて「いつかは医療に関わりたい」と思っていました。高校を卒業後に別の仕事に就いていましたが、資格がなくても病院の仕事ができることを知って、別の病院で初めて看護補助者の仕事をしたのは20歳の時でした。
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「看護補助者養成講座」で印象的だったこと
その後、転職して一度は医療関係の製造業に就きましたが、「患者さんと接する看護補助者の方が楽しかったな」と感じるようになり、看護補助者養成講座を受講して当院に就職して現在に至ります。講座では、看護補助者が担う役割を整理して理解することができ、その時に身につけた知識は今も役立っています。特に印象的だったのが、おむつ交換に関することです。「汚れた物を処理する」のではなく、「患者さんを清潔にしてあげたい」という視点になると、きれいになった後は自分もうれしくなって、達成感や、やりがいにつながっていくということを知りました。
退院した患者さんと外来ですれ違った時に「あの時はありがとうね」と声をかけられることもあり、そんな時は「この仕事をしていてよかった」と思います。また、この病院には託児所があり、子どもを預け安心して働くことができています。もうすぐ二人目が生まれるので、育休を取得後に復帰する予定です。安心して働き続けることができて、「職場で必要とされている」ことは、仕事を続けるモチベーションにもなります。今後は「口腔ケア」や「認知症ケア」の勉強をしてスキルアップを目指していくつもりです。
取材者の感想
看護補助者は、看護助手やナースエイドとも呼ばれ、この冬のテレビドラマにも登場しています。看護師や患者さんとコミュニケーションを図りながら業務にあたる「縁の下の力持ち」的な存在で、幅広い世代の人が活躍しています。佐藤さんの同僚には、夫が脳神経疾患に罹患し、学びや経験をしたいと志願、採用された50代後半の方もいるそうです。福島県では、毎年「看護補助者養成講座」を開催しています。現在講座の申し込みを受付中です。講座を受講して、病院で働いてみませんか※詳細はこちら
ライター 齋藤真弓