INTERVIEW

看護師インタビュー

「もっと看護を学びたい」入学後に意欲が芽生えた

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公立双葉准看護学院2年

中島 花月さん

中島 彰吾さん

Profile

震災前は双葉町にあった双葉准看護学院は平成29年に南相馬市で再開、浜通りを中心に医療従事者を送り出してきた。即戦力の「准看護師」として活躍するだけでなく、進学し看護師国家試験を目指す卒業生もいる。今回は、現在、進学を検討している2年生の2人に話を聞いた。

  • 10代から50代まで幅広い世代のクラスメイトと学ぶ

    ーーー看護師を目指すようになったきっかけを教えてください

    (花月)入学前1年ほど訪問介護をしていました。介護の仕事をしていると、看護資格がないとできない医療行為が必要になる場面が多く、もどかしさを感じて資格をとりたいと思いました。

    (彰吾)私は小さい頃から「人のためになる仕事をしたい」と思っていました。看護師として働いている母や叔母から職場の話を聞いたり、働く姿を見る機会もあって、自分も目指すようになりました。

     

    ーーー双葉准看護学院に進学したのはなぜですか

    (花月)私は今25歳で、高校卒業後すぐに出産し、二人の子どもを育てています。実家の母に助けてもらいながら子育てをしているので、まず通いやすいことが条件でした。学校の存在を教えてくれたのも母です。平成30年に二人目の子を産んだので「もう少し落ち着いたら入学を検討しよう」と思ってはいました。

    (彰吾)この学校に進学した理由は、地元にあって通いやすいこともありますが、高校の時に学校説明会に参加して「即戦力になる人材を育てる」ことを目指す授業や実習の内容を知って魅力を感じました。看護の専門的な内容を外部の先生が熱意をもって教えてくれるので、現場の様子が伝わってモチベーションアップになっています。

     

    ーーー実際に入学して、いかがですか

    (花月)このクラスには10代から50代まで幅広い世代がいます。みんなで意見を出し合う授業では、高校からすぐに進学した生徒の率直な視点にハッとしたり、反対に人生の先輩方の大人な考え方にふれることで、多様な見方に気づき勉強になります。それから、先生方が生徒たちに親身になって真剣に向き合ってくれるのが心強いです。

    (彰吾)私はコミュニケーションが得意ではなく、入学当初は学校で馴染めるのか心配でした。私のクラスだけの特長なのかもしれませんが、話しやすい人が多くて自分の考えを伝える時の苦手意識がなくなりました。校内で生徒同士が患者役と看護師役に分かれて行う洗髪や清拭の演習ですっかりうちとけました。この演習で身につけた技術が、実習先では大いに役立ちました。

  • よりいっそう「患者さんに寄り添える看護師」に

    ーーーどんな看護師になりたいですか?

    (花月)入学前の面接では「患者さんに寄り添える看護師になりたい」と先生に伝えました。授業を受け、実習を重ねてきて、今は患者さんの生活スタイルや病歴、治療方法など、全体を知らないと適切な看護ができないことがわかりました。2年になって、もっと勉強したくなり、今は進学を考えています。以前の訪問介護で関わることが多かった認知症や糖尿病の患者さんが「その人らしく」過ごせるように、看護の勉強をしていきたいと思います。

    (彰吾)私も「患者さんに寄り添える看護師」を目指しています。これまでの授業や実習を通して感じたのは、個別性が大事だということです。人ぞれぞれに異なる病状や個性を踏まえた看護をする必要があると思いました。「その人らしく」人生を送るために、何が重要なのかを見極められるように、しっかりと向き合っていける看護師になりたいです。私も今は進学を検討しています。看護の学びを深めるなかで、専門分野を見つけていこうと思います。

    ーーーこれから看護師を目指す人にメッセージを

    (花月)私のように家庭があると、入学をためらう人もいると思います。確かに勉強時間を確保するのが難しく苦労はありますが「看護師になりたい」という強い気持ちがあれば、目の前の壁を乗り越えていけるはずです。私は「今、学んでいる知識は、かけがえのないものだから」と自分に言い聞かせ、毎日がんばって勉強しています。もし、進路を迷っている人がいれば、学校を見学※1してみるのをおすすめします。先生方が、今ネックになっていることの解決策を一緒に考えてくれるはずです。例えば奨学金制度※2なども紹介してくれると思います。

    (彰吾)実習や試験が重なると、正直「大変だな」と思うこともありますが、実習先で新しく得た知識を活かせる機会があると、大きなやりがいを感じます。なにより資格は「一生もの」です。看護職は、社会から必要とされ、病院だけでなく、介護施設など、さまざまな職場で活躍できる魅力的な仕事です。男性看護師も増えていますので、ぜひ挑戦してみてほしいと思います。

    ※1 10月7日(土)に学院見学説明会を開催。詳細・問い合わせはこちら

    ※2 奨学金制度など学校案内はこちら

取材者の感想

准看護師は医師や看護師の指示のもと、看護や診療の補助をおこなう専門職です。超高齢社会の地域医療を支えるため、ますます重要な役割を担うことが期待されています。花月さんや彰吾さんのように、キャリアアップして看護師を目指すことも可能です。さまざまな世代、立場の人と切磋琢磨し、さまざまな視点が身につく准看護学校の経験は得難い財産になると思います。福島県内には現在、7カ所の准看護学校(准看護養成所)があります。まずは、オープンキャンパスなどで雰囲気を確かめてみるといいかもしれません。

ライター 齋藤真弓