INTERVIEW

看護師インタビュー

ライフステージにあった働き方で看護職を続けて

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公益社団法人福島県看護協会 福島県ナースセンター ナースセンター長

杉田 ゆかりさん

Profile

福島県ナースセンターは郡山駅から徒歩7分の福島県看護協会と同じ建物の中にあり、看護職の無料職業紹介や「再就業支援研修」「高校生の1日看護体験」などの事業を通し看護師の人材確保を進めている。長年にわたる看護師としてのキャリアを活かしてセンター長を務める杉田ゆかりさんに話を聞いた。

  • 「少しでも医療に携わりたい」人を応援

    新型コロナウイルス感染症が拡大したこの3年間、福島県ナースセンターは約200人の看護職を就業につなげてきました。今年の5月にコロナが5類に引き下げられたことで、宿泊療養施設やワクチン接種会場などで就業していた看護職の方たちは、少しずつ医療現場に戻り始めています。

    子育てや介護でフルタイム勤務や夜勤ができなくても、看護職にはライフステージに合わせて選択できる求人があり、年齢や体力に合わせて働くことができます。訪問看護やデイサービス、保育所など、医療機関以外の求人も多く、70歳代で前向きに求職している看護師の方もいます。

    「少しでも医療に携わりたい」という気持ちさえあれば、救護など単発の求人もありますので、さまざまな事情で継続して働けない方もぜひご相談いただければと思います。

    センターに来ることができない方のためには県内10ヶ所のハローワークに相談員が出向く「就職相談会」やインターネットで仕事が探せる「eナースセンター」があります。また、再就職の不安を払拭することができる「再就職支援研修」や、定年退職前後の「プラチナナース」※を対象とした研修などを実施することで、1人でも多くの看護師が活躍できるように応援をしています。

     

    ※「プラチナナース」とは、「定年退職前後の就業している看護職員」で、自分のこれ までの経験をふまえ、持っている能力を発揮し、いきいきと、輝き続けている看護職員の呼称

  • 看護職から一旦離れたから気づけたことがある

    若い世代に向けたアプローチとしては「高校生の1日看護体験」を行っています。参加者の8割が看護系の学校に進学する効果の高い事業ですが、この3年間はコロナで中止が相次ぎました。今年度は、感染症対策を講じながら高校3年生を対象に夏休み時期に開催する予定です。

    私は看護師として30数年働いてきました。新卒後2年ほど看護師として働き、結婚退職しましたが、専業主婦をしている間に将来を真剣に考えるようになって、パート勤務を経て28歳で大学病院に採用されました。ブランクがあったからこそ、復帰した時に「私はこの仕事がやりたかったんだな」と、前向きに仕事ができるようになったような気がしています。

    最近は、ワーク・ライフ・バランスに配慮されている求人がどんどん増えてきています。看護職は、さまざまなキャリアの人が患者さんと関わり成長していける仕事です。「もう一度、看護師として働きたい」という思いがよぎったら、ナースセンターにお気軽にご相談ください。看護職の相談員が無料でサポートします。資格を持つ多くの方たちに、看護の仕事を通して、人生を充実させてもらえればと思います。

    【ナースセンターとは】

    1992年に制定された「看護師等の人材確保の促進に関する法律」に基づき設置され、福島県ナースセンターは福島県知事から指定を受けて運営しています。看護職の確保・定着に向け、無料職業紹介事業、再就業支援事業、看護の心普及事業に取り組んでおります。

    看護職の就業に関する相談や情報提供、看護職募集をする求人施設への相談や情報提供を無料で行っております。看護職の免許をお持ちの方は、どなたでも利用することができます。

    ナースセンターHP https://www.fna.or.jp/?page_id=85
    福島県ナースセンター TEL024-934-0500
    いわきサテライト TEL0246-38-5781

取材者の感想

経験豊かなプラチナナースの活躍の場が増え、少しでも人手不足が解消すれば、子育て世代は看護職を続けやすくなりそうです。しかし、なんらかの事情でいったん仕事を離れてしまうと復帰するには少々勇気が必要だと思います。まして目まぐるしく進化する医療現場への復帰は高いハードルを感じるかもしれません。「まわり道をしても、ブランクがあっても大丈夫。私もそうでしたから」と教えてくれた杉田さん言葉が、多くの潜在看護師さんに届くことを願います。

ライター 齋藤真弓