INTERVIEW

看護師インタビュー

奨学金制度を活用してずっと夢だった看護師に

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喜多方市医師会 喜多方准看護高等専修学校 2年

西脇 麻穂さん

Profile

10代から60代まで幅広い世代の学生が学ぶ喜多方准看護高等専修学校は、令和4年(2022年)4月に複合施設『アイデミきたかた』に移転。准看護師を目指して新しく快適な学舎で2年間学ぶことができる。地元の民間病院の奨学金を受けて学んでいる2年生に話を聞いた。

  • つらそうな祖母の姿を見て看護師になることを決意

    高校卒業後に喜多方准看護高等専修学校に入学し、病院の奨学生として働きながら学んでいます。看護師を目指したのは、小学生の頃、祖母の闘病生活を間近で見ていたことがきっかけです。大腸がんが身体中に転移して入退院を繰り返していた祖母は、いつもどこかしら「痛い」と訴えていました。当時の私には「大丈夫?」と声をかけることしかできませんでしたが、病院に行くと看護師さんがやさしく声をかけながら祖母の苦痛を和らげていて、「私もあんなふうに患者さんに寄り添える人になりたい」と思いました。

    昨年からは学校が休みの日や放課後は看護助手として、祖母と同世代の患者さんと関わっています。勉強と仕事の両立はなかなか大変で、やるべきことをこなしているうちに、あっという間に2年生になりました。テストで思うような点数が取れずに落ち込むこともありましたが、患者さんから「ありがとう」「あなたがいてくれてよかった」と声をかけてもらって「看護師を目指してよかった」と改めて思いました。

  • 患者さんの一番近くで苦痛を取り除ける存在に

    実習では、患者さんとって「何をするのが一番いいのか」を自分なりに考えて関わりました。入院中は慣れない環境で不安な気持ちで過ごしているはずです。そこで私は傾聴だけでなく、病棟を一緒に歩いたり、手浴・足浴など、その時にできることを試してみました。ちょっとした気分転換ができると、患者さんの表情は明るくなります。患者さんに一番近いところにいる看護師だからこそできる苦痛緩和があることがわかりました。病棟にいて、回復していく患者さんの姿を見るのはうれしいですが、必ずしも治る人ばかりではありません。たとえ治癒が望めない患者さんでも、人生の一部に関わって、その人らしく生きるお手伝いができる看護師になりたいです。

    看護助手として働くことで病院の仕事を早い時期からイメージできましたし、人生経験豊富なクラスメイトにアドバイスがもらえた学校生活は楽しく貴重な経験でした。現在は、一通り実習が終わって、資格試験に向けてみんなが一斉に座学に励んでいるところです。卒業後は、会津若松市にある看護師養成校2年課程(専攻科)に進学して看護師になり、高齢化の進む会津地方の医療を支えていきたいと思っています。

取材者の感想

忙しくも充実している毎日のことを教えてくれた西脇さん。その目の中に迷いなく進んでいる人の力強い光を感じました。ICT化やコロナ禍で医療従事者との直接的なふれあいが希薄になっているような気がしますが、患者の立場からすると、やはり看護師さんは心のあり方を大きく左右する存在です。西脇さんが小学生の時に抱いた「おばあちゃんをなんとかしてあげたい」というやさしい気持ちを持ち続けて、これからもずっとたくさんの患者さんに寄り添ってほしいと思いました。

ライター 齋藤真弓