異業種から看護職へ挑戦同じ目標の仲間と学ぶ
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公益財団法人会津若松医師会附属 会津准看護高等専修学校 2年
片岡 望美さん
菊地麻澄美さん
佐藤 駿さん
Profile
2年制の准看護師養成校・会津准看護高等専修学校は、県の「離職者等再就職訓練事業」訓練生の受け入も実施しており、多くの社会人経験者が学んでいる。病院での実習を終えて、来春の就職を見据え始めた3人の2年生に話を聞いた(写真左から片岡さん、菊地さん、佐藤さん)。
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販売や事務、製造などの経験を経て新たな道へ
ーーーなぜ看護職になりたいと思ったのですか?
(片岡)私は今42歳で、これまで子育てをしながら販売員や事務職として働いてきました。働くことが好きなので、年齢や経験がプラスに作用して、年齢を重ねてもずっと続けていける職業に就きたいと考えた結果、看護職を目指しました。
(菊地)私は37歳です。出産と育児を経験して、それまではあまり縁のなかった看護師さんにお世話になる機会が増えました。自分が不安な時に看護師さんの声かけで助けられた経験から「あんな存在になれたらいいな」と思うようになりました。
(佐藤)私は27歳で、高校卒業後は車関係の工場で働いていました。仕事に目標を見出せずに悩んでいた時、母から勧められたのが看護職です。母自身が看護師で、やりがいをもって働いている姿を見て、自分も挑戦しようと思いました。
ーーーこの学校を選んだ理由を教えてください。
(片岡)2年前に出産し、その後に仕事を探していた時、ハローワークでこの学校のことを知りました。もともと看護職には興味があったので、すぐに詳しく調べて入学の手続きをしました。学校の近くにある保育園に子どもを預けられることも魅力的でした。
(菊地)ここに学校があることは以前から知っていて「自宅から通えるな」と思っていました。私もハローワークで社会人が受験できると知って、前職を退職するタイミングで入学しました。
(佐藤)この学校は年齢制限がないということを母から聞いていたので、いろんな世代の人たちと一緒に学べることに魅力を感じて、入学しました。
ーーー学校生活で、どんなことが印象に残っていますか?
(片岡)1年秋の「戴帽式」※です。それまで、私自身になんとなく浮かれた気持ちがあったのですが、決意表明をすることで改めて看護職の道を歩む覚悟ができたと思います。
(菊地)私も「戴帽式」が一番印象に残っています。クラスのみんなで宣言文を考えて、発表の練習をして「看護師になるんだ」という意識を改めて自覚することができました。
(佐藤)みんなで目標を共有し、励まし合い、助け合って勉強してきた毎日の学校生活が印象的です。一つだけあげるとすれば、仙台への「修学旅行」は絆が深まって楽しかったですね。
※医療機関での実習を控えた看護学生にナースキャップを授与する儀式
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実習を経験して見えてきた自分なりの看護職像
ーーー卒業後は、どんな看護職になりたいですか?
(片岡)医学的根拠と知識を持ち、患者さんに寄り添える看護師になりたいです。私は接客業の経験があるので、コミュニケーションには少しばかりの自信がありましたが、それだけではダメだと実習で実感しました。まだまだ勉強が大切だということを今も実感しています。
(菊地)私は、患者さん目線を忘れない看護職を目指しています。病気で不安な時は、看護職の声かけひとつで気持ちが上向きになることがあると思うので、そこは大事にしていきたいです。
(佐藤)私も常に患者さんの気持ちを考えて、信頼してもらえる看護師になりたいです。さらに、患者さんだけではなくその家族にも寄り添っていければいいなと思います。
ーーーこれから看護職を目指す人にエールをお願いします。
(片岡)何歳になっても学べることは幸せなことです。進学の際に金銭面がネックになる場合は、さまざまな制度があるので、うまく利用することで解決できるのではないかなと思います。
(菊地)一番必要なのは「やる気」です。社会に出てから学生になるのは勇気が要りますが、「やる気」があれば勉強も頑張れるし、周囲からもアドバイスがもらえるので大丈夫だと思います。
(佐藤)勉強は大変ですが、クラスメイトと一緒にがんばれば、2年間はあっという間。私はとても楽しく過ごすことができました。ぜひ一歩踏み出して、夢を実現させてほしいですね。
取材者の感想
自分なりに真剣に考えて仕事に就いたとしても、最初から適した職業に出会える人はまれで、紆余曲折を経た後に辿り着いた場所で輝く人も多いはずです。今回インタビューしたのは、これまでの経験を踏まえて自己分析をした結果、新たな目標を見つけた3人。彼らに共通して感じたのは、「自分の人生に対する前向きさ」でした。来春以降、3人が働き始めた職場周辺で「あんな人になりたい」と看護職を目指す人が出てくるのではないかなと、ふと思いながら学校を後にしました。
ライター 齋藤真弓