看護師の仕事を見る
看護師の
キャリアアップ
看護師としてさらなるキャリアアップを目指す方へ、専門看護師や認定看護師の資格取得に向けた情報をお届けします。専門性を高め、活躍の場を広げるための第一歩をサポートします。
概要
近年の医療の高度化・複雑化により、看護業務において高度かつ特殊な技能が必要となる場面も増えており、 各分野におけるスペシャリストとしての看護師が必要となっていました。そこで日本看護協会により、1994年に専門看護師の制度が、1995年には認定看護師の制度が作られました。 その後、複雑化する病棟管理を円滑に行う高いマネジメント能力を持った管理職を育成するため認定看護管理者制度が1998年に制定されました。
各資格について
それぞれの資格は、日本看護協会が認定しています。約20年前にできた制度ですが、 年々資格を取得する人が増え、その人数は増加傾向にあります。
※参照「認定看護師数・専門看護師数・認定看護管理者数の推移(全国)」
専門看護師は、様々な場面で活躍する看護のプロフェッショナルです。その活動内容は患者の看護ケアだけでなく、 その家族や医療従事者間のマネジメント、看護職への教育、更には研究活動など施設内外に渡って広く活躍します。
認定看護師はまさに特定分野における臨床現場のエキスパートです。21の専門分野に分かれており、 高度化及び専門分化する医療の現場にて高度な知識と熟練した看護技術を持って看護に当たります。
認定看護管理者は質の高い看護サービスを提供するとともに、組織的・経営的な視点を持って看護活動を行います。 取得の条件として「取得者が師長以上の職位であること」がありますので、管理職として組織全体の発展に大きな役割を担います。
資格のメリット
資格取得のメリットは様々なものがあり、その中でも日本看護協会や厚生労働省により公的に認められているものがあります。
公的に認められているものの一つは、「専門性の広告」です。これは専門・認定看護師の名称を、 チラシ・パンフレット・各種出版物等などに利用し、情報の一つとして提供することができるもので、 例えば病院案内などに専門資格名称を掲載することで、その病院の看護の専門性を広く知らせることができます。
また、そして公的に認められている利点の2つ目に「診療報酬加算」があります。こちらは、 病院内に専門看護師や認定看護師の配置することで、診療報酬が加算されるものです。
※参照「認定看護師・専門看護師による診療報酬の算定と配置要件」
資格とは看護師として熟練した知識と技術を持つスペシャリストであると認められたものです。 病院内外での活動範囲も広がり、技術を求められたり他の看護職に指導する機会ができたりと看護のやりがいを更に感じることができると思います。 また、資格取得後、職位や給料が上がったという方もいます。
資格を取得するには?
どの資格も「看護師免許を取得後」に一定期間の看護経験や実務研修が必要となります。その後、 資格教育課程や認定審査の終了後に資格取得となります。
※詳しくは「看護師の仕事を見る」コーナーへ。
資格取得のための援助
資格を取得する場合、様々な準備が必要になります。認定看護師は半年以上職場を離れることになり、 専門看護師は大学院課程の修了が条件となっていますので、金銭的・時間的な負担も非常に大きくなります。 しかし、資格取得中の給与保証や通勤費用等の援助を行う教育支援制度がある医療機関も数多く存在します。 実際に資格を取得した方々の多くは医療施設等から支援を受けています。
また、日本看護協会における奨学金の貸与もあり、福島県でも資格取得のための補助金もありますので、 まずは職場の上司に相談してみましょう。
概要
専門看護師とは、日本看護協会専門看護師認定審査に合格し、複雑で解決困難な看護問題を持つ個人、家族及び集団に対して、 水準の高い看護ケアを効率よく提供するための、特定の専門看護分野の知識及び技術を深めた者をいいます。
専門看護師に
なるには?
専門看護師への道
-
日本国の看護師の免許を有すること
-
- 看護系大学院修士課程修了者で日本看護系大学協議会が定める専門看護師教育課程基準の所定の単位(総計26単位または38単位)を取得していること
- 実務研修が通算5年以上あり、うち3年間以上は専門看護分野の実務研修であること
-
認定審査
(書類審査・筆記試験) -
専門看護師認定証交付・登録
-
5年ごとに更新
(看護実践の実績、研修実績、研究業績等書類審査)
参考:日本看護協会資料より
なお、特定看護分野の実務研修内容については以下を参照のこと。
※参照「特定看護分野の実務研修内容の基準」
役割
専門看護師は、実践・相談・調整・倫理調整・教育・研究の6つの役割を果たすことにより、保健医療福祉や看護学の発展に貢献することを目的としています。6つの役割は次のとおり。
- 個人、家族及び集団に対して卓越した看護を実践する。(実践)
- 看護者を含むケア提供者に対しコンサルテーションを行う。(相談)
- 必要なケアが円滑に行われるために、保健医療福祉に携わる人々の間のコーディネーションを行う。(調整)
- 個人、家族及び集団の権利を守るために、倫理的な問題や葛藤の解決をはかる。(倫理調整)
- 看護者に対しケアを向上させるため教育的役割を果たす。(教育)
- 専門知識及び技術の向上並びに開発をはかるために実践の場における研究活動を行う。(研究)
特定分野
専門看護師として特定されている分野は次のとおりです。
専門看護師の特定分野一覧
分野名 | 英語表記 | 分野の特徴 |
---|---|---|
がん 看護 |
Cancer Nursing | がん患者の身体的・精神的な苦痛を理解し、患者やその家族に対してQOL(生活の質)の視点に立った水準の高い看護を提供する。 |
精神 看護 |
Psychiatric Mental Health Nursing | 精神疾患患者に対して水準の高い看護を提供する。また、一般病院でも心のケアを行う「リエゾン精神看護」の役割を提供する。 |
地域 看護 |
Community Health Nursing | 産業保健、学校保健、保健行政、在宅ケアのいずれかの領域において水準の高い看護を提供し、地域の保健医療福祉の発展に貢献する。 |
老人 看護 |
Gerontological Nursing | 高齢者が入院・入所・利用する施設において、認知症や嚥下障害などをはじめとする複雑な健康問題を持つ高齢者のQOLを向上させるために水準の高い看護を提供する。 |
小児 看護 |
Child Health Nursing | 子どもたちが健やかに成長・発達していけるように療養生活を支援し、他の医療スタッフと連携して水準の高い看護を提供する。 |
母性 看護 |
Women’s Health Nursing | 周産期の母子および家族への支援、女性のライフサイクル全般にわたる健康への援助等、水準の高い看護ケアを提供する。 |
慢性 疾患 看護 |
Chronic Care Nursing | 生活習慣病の予防や、慢性的な心身の不調とともに生きる人々に対する慢性疾患の管理、健康増進、療養支援などに関する水準の高い看護を行う。 |
急性・ 重症 患者 看護 |
Critical Care Nursing | 緊急度や重症度の高い患者に対して集中的な看護を提供し、患者本人とその家族の支援、医療スタッフ間の調整などを行い、最善の医療が提供されるよう支援する。 |
感染症 看護 |
Infection Control Nursing | 施設や地域における個人や集団の感染予防と発生時の適切な対策に従事するとともに感染症の患者に対して水準の高い看護を提供する。 |
家族 支援 |
Family Health Nursing | 患者の回復を促進するために家族を支援する。患者を含む家族本来のセルフケア機能を高め、主体的に問題解決できるよう身体的、精神的、社会的に支援し、水準の高い看護を提供する。 |
在宅 看護 |
Home Care Nursing | 在宅で療養する対象者及びその家族が、個々の生活の場で日常生活を送りながら在宅療養を続けることを支援する。また、在宅看護における新たなケアシステムの構築や既存のケアサービスの連携促進を図り、水準の高い看護を提供する。 |
遺伝 看護 |
Genetics Nursing | 対象者の遺伝的課題を見極め、診断・予防・治療に伴う意思決定支援とQOL向上を目指した生涯にわたる療養生活支援を行い、世代を超えて必要な医療・ケアを受けることができる体制の構築とゲノム医療の発展に貢献する。 |
災害 看護 |
Disaster Nursing | 災害の特性をふまえ、限られた人的・物的資源の中でメンタルヘルスを含む適切な看護を提供する。平時から多職種や行政等と連携・協働し、減災・防災体制の構築と災害看護の発展に貢献する。 |
放射線 看護 |
Radiological Nursing | 放射線がもたらす身体、心理社会的影響の特性をふまえ、放射線事故・災害における平時からの体制構築と健康課題を有する対象へ長期的な看護を提供する。また、放射線診療を受ける対象者とその家族へ水準の高い看護を提供するとともに、職業被ばく低減の方策等、施設における体制を構築する。 |
参考:日本看護協会資料より
専門看護師教育機関
※参照「専門看護師教育機関及び課程 認定単位」
なお、福島県内では、福島県立医科大学において「がん看護分野」「精神看護分野」「小児看護分野」の3つの認定課程があります。
詳しく見る概要
認定看護管理者とは、日本看護協会認定看護管理者認定審査に合格し、管理者として優れた資質を持ち、 創造的に組織を発展させることができる能力を有すると認められた者をいいます。
認定看護管理者になるには?
認定看護管理者への道
-
日本国の看護師免許を有すること
-
看護師の免許取得後、実務経験が通算5年以上あること
そのうち通算3年以上は看護師長相当以上の看護管理の経験があること -
下記のいずれかの要件を満たすこと。
- 認定看護管理者教育課程サードレベルを修了している者。
- 看護管理に関連する学問領域の修士以上の学位を取得している者。※
※「看護管理に関連する学問領域の修士以上の学位を取得している者」とは、修了証、履修単位証明書、成績証明証等において、看護管理に関連する学問領域を専攻していることが確認できる、または、看護管理特論、看護管理演習、看護管理研究、経営組織論、経済論、労務管理、保健医療福祉政策等の看護管理に関連する単位を取得しており、かつ修士論文において、看護管理に関する内容を記載している者をいう。単に看護管理に関連する単位(科目)を取得した場合は該当しない。(認定看護管理者(CNA)認定審査「認定の手引き」抜粋)
- 認定看護管理者教育課程
- ファーストレベル:150時間
- セカンドレベル:180時間
- サードレベル:180時間
-
認定審査
(書類審査及び筆記試験) -
認定看護管理者認定証
交付・登録 -
5年ごとに更新
(看護管理実践の実績と自己研鑽の実績等)
参考:日本看護協会資料より
概要
認定看護師とは、日本看護協会認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、あらゆる場で看護を必要とする対象に、熟練した看護技術と知識を用いて、 水準の高い看護実践のできる者をいいます。
認定看護師になるには?
認定看護師への道
-
日本国の看護師免許を有すること
-
看護師免許取得後、実務研修が通算5年以上あること(うち3年以上は認定看護分野の実務研修)
-
認定看護師教育機関(課程)修了
(6か月・600時間以上) -
認定審査
(筆記試験) -
認定看護師認定証
交付・登録 -
5年ごとに更新
(看護実践と自己研鑽の実績について書類審査)
参考:日本看護協会資料より
なお、特定看護分野の実務研修内容については以下を参照のこと。
※参照「特定看護分野の実務研修内容の基準 A課程」
※参照「特定看護分野の実務研修内容の基準 B課程」
役割
認定看護師は、看護現場において実践・指導・相談の3つの役割を果たすことにより、看護ケアの広がりと質の向上を図ることに貢献することを目的としています。3つの役割は次のとおり。
- 個人、家族及び集団に対して、熟練した看護技術を用いて水準の高い看護を実践する。(実践)
- 看護実践を通して看護職に対し指導を行う。(指導)
- 看護職に対しコンサルテーションを行う。(相談)
特定分野
認定看護師として特定されている分野は次のとおりです。
※参照「認定看護師の特定分野一覧」
認定看護師の特定分野一覧
分野名 | 英語表記 | 知識と技術(一部) |
---|---|---|
救急 看護 |
Emergency Nursing |
|
皮膚・ 排泄 ケア |
Wound, Ostomy and Continence Nursing |
|
集中 ケア |
Intensive Care |
|
緩和 ケア |
Palliative Care |
|
がん 化学 療法 看護 |
Cancer Chemotherapy Nursing |
|
がん性 疼痛 看護 |
Cancer Pain Management Nursing |
|
訪問 看護 |
Visiting Nursing |
|
感染 管理 |
Infection Control |
|
糖尿病 看護 |
Diabetes Nursing |
|
不妊症 看護 |
Infertility Nursing |
|
新生児 集中 ケア |
Neonatal Intensive Care |
|
透析 看護 |
Dialysis Nursing |
|
手術 看護 |
Perioperative Nursing |
|
乳がん 看護 |
Breast Cancer Nursing |
|
摂食・ 嚥下 障害 看護 |
Dysphagia Nursing |
|
小児 救急 看護 |
Pediatric Emergency Nursing |
|
認知症 看護 |
Dementia Nursing |
|
脳卒中 リハビ リテー ション 看護 |
Stroke Rehabilitation Nursing |
|
がん 放射線 療法 看護 |
Radiation therapy Nursing |
|
慢性 呼吸器 疾患 看護 |
Chronic Respiratory Nursing |
|
慢性 心不全 看護 |
Chronic Heart Failure Nursing |
|
感染 管理 |
Infection Control |
|
がん 放射線 療法 看護 |
Radiation Oncology Nursing |
|
がん 薬物 療法 看護 |
Cancer Chemotherapy and Immunotherapy Nursing |
|
緩和 ケア |
Palliative Care |
|
クリ ティ カル ケア |
Critical Care |
|
呼吸器 疾患 看護 |
Respiratory Nursing |
|
在宅 ケア |
Palliative Care |
|
手術 看護 |
Perioperative Nursing |
|
小児 プライ マリ ケア |
Pediatric Primary Care |
|
新生児 集中 ケア |
Neonatal Intensive Care |
|
心不全 看護 |
Heart Failure Nursing |
|
腎不全 看護 |
Nephrology Nursing |
|
生殖 看護 |
Reproductive Health Care |
|
摂食 嚥下 障害 看護 |
Dysphagia Nursing |
|
糖尿病 看護 |
Diabetes Nursing |
|
乳がん 看護 |
Breast Cancer Nursing |
|
認知症 看護 |
Dementia Nursing |
|
脳卒中 看護 |
Stroke Nursing |
|
皮膚・ 排泄 ケア |
Wound, Ostomy and Continence Nursing |
|
参考:日本看護協会資料より