INTERVIEW

看護師インタビュー

まっすぐに、迷いなく進んできた「看護の道」

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公益財団法人 磐城済世会 松村看護専門学校

白岩 美月さん

八巻 かのさん

澤田 涼佳さん

Profile

松村看護専門学校はいわき市の中心部にあり、隣接する松村総合病院の他、舞子浜病院、長春館病院など地域で働く看護職を育てている。今回は、地元出身の3人の学生に、目指す看護師像などを聞かせてもらった。(左から1年白岩美月さん、2年八巻かのさん、1年澤田涼佳さん)

  • 子どもの頃から夢だった看護師になるために

    ーーー看護師を目指したきっかけを教えてください。

    (澤田)東日本大震災の時、小学1年でした。私の家は海沿いの高台にあって、津波から逃れて急いで坂道を駆け登ってくる人たちがいました。途中で転んでケガをしてしまった人もいたのですが、私にはその時なにもできなかったのが悔しくて「いつかは看護師になって人の役に立ちたい」と思うようになりました。

    (白岩)私は、4歳の時に手術のために病院に入院したことがあります。その時担当してくれた看護師さんがやさしく声をかけ続けてくれたおかげで、病院での治療に不安や恐怖心を抱くことなく過ごせました。その時から医療の仕事に関心をもつようになって、これまでずっと「看護師になる」という夢だけを追い続けてきました。

    (八巻)私も小さい頃に入院した経験があります。注射が怖いし、薬は苦いし、病院は苦手でしたが、ある看護師さんが精神面も支えてくれるようになってからは、治療に前向きになり、無事に退院することができました。あの時の看護師さんのように、さまざまな面からサポートできる看護師になりたいと思い、看護師を目指しはじめました。

     

    ーーーこれまでの学校生活で何が印象に残りましたか?

    (澤田)1年生初めての実習はとても緊張していたのですが、それを察した入院患者さんが、やさしく声をかけてくれたのが印象的でした。2週間後、最終日に病室にあいさつに行くと、「まだまだ勉強は大変だろうけれども、がんばって!」と応援してくれて心があたたかくなりました。

    (白岩)私もやはり実習が印象に残っています。実習では毎日同じ入院患者さんと接するので、患者さんが心を開いて話をしてくれるのがうれしくて、コミュニケーションをとる時間を確保するために、効率よく記録をとれる方法がないか、自分なりに工夫するようになりました。

    (八巻)2年生は5月に1ヶ月、12月から3ヶ月の実習があります。私は、実習で受け持った患者さんに「私はもう長くない」「迷惑ばかりかけて申し訳ない」と言われ、どう声をかければいいのか分からなくなって悩みました。当校の先生に相談したところ「自分なりに答えを見つけていくことが一番いいよ」とのアドバイスを受けたので、これから先、試行錯誤を重ねていこうと思います。

  • 学校には達成感を共有できる仲間がいるから

    ーーー今現在は、どんな看護職になりたいと思っていますか?

    (澤田)これから変わってくることもあるかもしれませんが、今はどんな時も患者さんにやさしく接することができて、信頼される看護師になりたいと思っています。実習の時の経験から、しっかり一人ひとりの入院患者さんと向き合えるような病棟での勤務を希望しています。

    (白井)人を思いやる気持ちを忘れずに、頼りがいがあって信頼される看護師になりたいです。看護師になってからも、ずっと学びは続くものだと聞いています。私は将来的には助産師の資格を取得したいので、これからも学び続けていくつもりです。

    (八巻)看護師を目指した時から変わらず「身体面と精神面をサポートできる存在」になりたいと思っています。患者さんに「この看護師でよかった」と思ってもらえるように寄り添っていきたいです。救急医療に関心があり、フライトナースになりたいと思っています。

    ーーーこれから看護職を目指す人たちにメッセージをお願いします。

    (澤田)この1年間勉強をしてきて、看護師になるのは本当に大変だと実感しています。だからこそ、次のステップに進んだ時の達成感は大きくて、「あの時の自分は本当によくがんばったな」と思える日が絶対に来ると信じています。伝えたいことは「あきらめないで」ということ。多くの人に達成感、うれしさを味わってもらいたいです。

    (白井)小中高とは違って、看護学校はみんなが「看護師」という同じ目標に向かって毎日を過ごしているため、クラスの中には強い連帯感が生まれます。入学前は不安もあったのですが、辛いことも苦しいことも一緒に乗り越えられる仲間がいることが心の支えになっています。実習では少しずつ夢に近づいていることを実感できる場面が多くり、やりがいを感じます。

    (八巻)看護学校に入るまでの勉強も大変でしたが、実際に入学してからもハードな毎日です。諦めず、めげず、自分を信じて、今できることを精一杯やることが大切だと思っています。そうすることで結果は必ずついてくると思いながら私自身もがんばっています。そのことを看護職を目指す人たちにも伝えたいと思います。

取材者の感想

実習先での患者さんとのコミュニケーションを笑顔で明るく教えてくれる1年生二人と、患者さんの対応で自分なりの答えに悩む2年生。ステップアップするほどに自分と向き合う場面が増えることがわかります。いずれにしても、実習先での学びが学生さんを大きく成長させるのでしょう。患者が未来の看護職を育てるのであれば、あたたかく心ある人が実習機関に増えることを願わずにはいられません。まずは自分から、通院先では実習生さんを応援したいと思います。

ライター 齋藤真弓