「目標にしたい」と思える看護職が身近にいる幸せ
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JA福島厚生連 鹿島厚生病院 看護師
西畑 加奈さん
ニシハタ カナ
Profile
1998年、千葉県千葉市生まれ。小高商業高校を卒業後、相馬看護専門学校に進学。2020年に鹿島厚生病院に入職した。現在は病棟に勤務し、主に内科の入院患者を担当している。
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お母さんのような看護師の一言が心を動かした
高校1年の時、大けがで1ヶ月入院しました。それまで病院とは無縁の生活をしていたので、管につながれてベッドに寝ているだけの生活は本当につらい経験でした。なんとか乗り越えられたのは、親身に話を聞いてくれたり、治療の際にいつも励ましてくれるお母さんのような看護師さんがいたからです。その人に「加奈ちゃんも看護師になったら?」と勧められましたが、大変な仕事ぶりを近くで見ていたからこそ、「私にはとても無理です」と答えたのを覚えています。
退院して高校2年の終盤になり進路について考えるようになった時期に、今度は母が入院しました。再び病院で看護師と関わって、ふと看護師になることを勧められたことを思い出し、「やってみようかな」と高校の先生に相談しました。私が通っていたのは商業高校で、普通科とはカリキュラムが違い医療系を受験するには対策が必要です。しかも、私は数学があまり得意ではありませんでした。同学年には私の他にも4人ほど医療系に進学を希望する生徒がいて、熱心な先生がつきっきりでみんなの勉強を見てくれたので、無事に相馬看護専門学校に進学できました。目標に向かって励まし合い、がんばったことはとてもいい経験になったと思っています。
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忙しくても患者さんの気持ちに寄り添いたい
看護専門学校の時に先生に勧められて当院で看護助手のアルバイトしていました。患者さんと楽しく関われたことや職員同士の雰囲気がいい病院だと思ったので、就職を決めました。
1年目は内科病棟に配属され、2年目に一度、外科に移りました。生活補助がメインの内科では落ち着いて患者さんに向き合えたのですが、外科は医療機器の操作など覚えることが膨大で、すっかり自信を無くしました。
「この仕事に向いていないかも」と思い詰め、プリセプターの先輩に相談したところ、「出来ることもあるから、自分をダメだと思わないで」と、内科に戻れるように掛け合ってくれました。「見ていてくれている人がいる」と少し気持ちが楽になりました。
内科病棟に戻ってからも指導されることは多いですし、与えられた仕事を的確にこなすことで精一杯の毎日です。今の目標は、忙しい時でも患者さんの気持ちにより添える看護師になること。職場の師長や主任は、どんな時でも患者さんにやさしく接していて、しかも仕事が早いので不思議になるほどですが、いつかは私もあんなふうになれたらいいなと思って働いています。
取材者の感想
ゆったりやさしい口調で答えてくれる西畑さんにインタビューしていると、こちらまで心が穏やかになってきました。病気で不安な時、彼女に「大丈夫だよ」と言われたら、なんだか安心できそうだなぁと思いながら話を聞いていると、「看護師になったら?」と勧めた人の気持ちがわかるような気がしました。「今は、看護師以外で働く自分の想像がつかない」と話す西畑さん。つらいことも前向きな力に変える生き方を貫いて、これからも成長していってほしいと願います。
ライター 齋藤真弓