一歩を踏み出す勇気で未来が開けるはずだから
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公立双葉准看護学院 1年
川崎美羽さん
カワサキ ミウ
根元智美さん
ネモト サトミ
Profile
双葉准看護学院には、「資格を取得して現状を変えたい」と入学する学生も少なくない。3回シリーズの2回目に紹介するのは、「将来の自分のために」と入学した20代と10代の女性。「願書提出前に学校に足運んで雰囲気をつかみ、強い意志をもって進学した」と話す二人を紹介する。(写真左から川崎美羽さん、根元智美さん)
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「今の環境を変えたい」と准看護学校へ
ーーー入学のきっかけを教えてください。
【川崎さん】18歳まではアルバイト生活をしていて「ずっとこのままじゃ嫌だ」「手に職をつけたい」と思いました。父親からは「大変な仕事だし、本当に続けられるのか」と心配をされましたが、看護職になりたいという真剣な気持ちを伝え続けて最終的に受け入れてもらいました。
【根元さん】私は昨年まで介護職をしていました。現在は28歳で4歳の娘がいますが、出産後に職場復帰した際、夜勤を免除されなかったので子育てと両立が難しくなり、資格を取得して仕事の選択肢を増やそうと思いました。昨年夏のオープンスクールに参加して進学を決意しました。
ーーー実際に入学してみていかがですか?
【川崎さん】勉強は覚えることが多くて大変ですが、クラスメイト全員が資格取得に向けてがんばっています。私は、クラスのみんながいるから学校にいきたいし、がんばろうと思えます。世代もこれまで生きてきた人生経験も全く違う6人に絆みたいなものが生まれてきています。
【根元さん】正直、テストが頻繁にあるので常に気が抜けません。ただ、中学や高校の頃の定期テストとは違って、教科科目を絞って勉強できるので効率的な勉強法ができます。家に帰ると娘が「一緒に寝よう」と誘ってくるので、朝早く起きて勉強したり早めに学校に来て勉強しています。
ーーー効率的な勉強法について教えてください。
【川崎さん】根元さんがオリジナルの問題集を作ってくれて、みんなで共有しています。このプリントに重要なポイントが全て盛り込まれていて、今のところ私も赤点を取らずに済んでいます。
【根元さん】プリントは、自分のために作った穴埋めの問題です。私の他にも同じようなことをしているクラスメイトがいますし、常々わからないところは教えあっています。
【川崎さん】知識は覚えても夜眠ると60%は忘れるので、朝の勉強と繰り返しが大事と聞きました。寝不足で遅刻することは絶対に避けたいので、早寝早起きの習慣がつきました。
【根元さん】私は実務経験3年で介護福祉士を取ったので、勉強はこれまでの仕事の振り返りにもなっています。学校できちんと理論を学ぶことの大切さを改めて感じているところです。
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看護職として働く未来の自分のイメージは
ーーーこんな看護師になりたいというイメージはありますか?
【川崎さん】知識と技術を備えた看護師です。そのためにやはり勉強が大切です。そして勉強以外にもクラスのみんなから教わることが多いので、もっと、人を思いやることができる人になりたいと思うようになりました。卒業後は看護職として病院で経験を積んで、ゆくゆくは訪問看護も視野に入れていきたいと思っています。
【根元さん】笑顔を忘れずに、患者さんの不安な気持ちを少しでも楽にできるような看護師になりたいです。効率優先ではなく、看護の基本原則である「安全・安楽」の実現を目指していきたいと思います。
ーーー入学を迷っている人がいたら、どんな風に声をかけますか?
【川崎さん】ここがどんな学校なのか、どんな授業をするのか、どんな資格を取ることができるのかをきちんと調べてみることをお勧めします。私は自宅が近いので直接学校を訪ねて受験案内を受け取りましたが、ホームページで調べることもできます。知らないままで入学するとギャップの大きさにつまずいてしまうような気がします。
【根元さん】ある程度の覚悟は必要ですが、私は「まずは挑戦してみるといいのではないか」と思います。一歩踏み出さないと何も変わらないので。今年も私は南相馬市の奨学金制度を利用していますが、病院独自の奨学金も各種あります。金銭的な負担から躊躇している方であれば、情報収集から始めてみることをお勧めしたいと思います。
取材者の感想
川崎さんからも根元さんからも、お互いのがんばりを認め合い、励まし合い、モチベーションにしている様子が伝わってきました。この周りの人たちへの気遣いは、看護職に就いてからも大いに生かされるはずです。「一人のやさしさが、やさしさを呼んで輪になって広がる」。そんな貴重な経験ができる2年間が未来に進む6人の力に、宝物になるだろうと思いました。
ライター 齋藤真弓