両親の姿を見て看護師に「寄り添う看護」が目標
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JA福島厚生連 鹿島厚生病院 看護師
林 あかりさん
ハヤシ アカリ
Profile
1998年南相馬市原町区生まれ。原町高校を卒業後、相馬看護専門学校に進学、2020年4月に鹿島厚生病院に入職した。現在、急性期病棟に所属し入院患者の看護やオペ室を担当している。
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「地元の医療を見ておいた方がいい」と言われて
両親とも看護師をしていて、物心ついた頃から「私も看護師になりたい」と思っていました。誰かに将来の夢を聞かれると、必ず「看護師さん」と答えていたのを覚えています。家庭内でも医療の話題がのぼることが多く、専門職として誇りを持って働いている二人の姿に憧れました。
うちは大家族のせいか、両親が忙しくても特別さみしい思いをしたことはありません。ひいじいちゃんの具合が悪くなった時にも、父が適切な関わり方をしているのを見て、純粋に「すごいな」と思いました。言い換えると、「身近な仕事が看護師しかなかった」のかもしれません。勉強が大変なことを両親から聞いていましたが、看護師になることに迷いはありませんでした。
地元の専門学校に進学したのも、両親のアドバイスからです。「いずれ南相馬市に戻ってくるのなら、地元の学校で学んで、今どんな医療をやっているのかを実習できちんと見ておいた方がいい」と言われて、「確かにそうかもしれない」と思いました。
鹿島厚生病院に就職を決めたのは、インターンシップに参加した時の印象が良かったからです。看護師が患者さんに手浴をしたり、食事介助をしたりしながらコミュニケーションを多くとっていたので、ここなら私の目指す「寄り添う看護」ができそうな気がしました。また、患者さんや同僚と関わる先輩看護師の表情が明るくて、病院全体からやわらかい雰囲気を感じ取りました。
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患者さんが退院する姿を見るのが「やりがい」に
入職後しばらくは、先輩たちがどう動いているのかを把握するので精一杯でした。病院では、誰もが次に起こることを予測しながら動いていますが、まだ目の前の仕事に気を取られてしまって、全体を見ることができません。救急搬送があったり、患者さんが急変した時などは、どう動けばいいのか迷うこともあります。先輩は「これから経験を積めば大丈夫」と、幅広い視点から看護スキルを教えてくれます。ケアや処置の正解はひとつではないと思うので、「個別性のある看護」を目指して、一人ひとりの患者さんや家族に寄り添える力を養っていきたいです。
患者さんと関わるのはとても楽しく、回復していく様子を目にしたり、元気になって退院していく姿を見ると、「この仕事を選んで良かった」と心から思います。もし、中学生や高校生で「看護師」という進路に迷っている人がいるとしたら、病院に行った時に、看護師を観察してみるといいと思います。「看護の職場体験」などもいい機会です。ぼんやりでも看護師という仕事をイメージすることができれば、一歩踏み出すきっかけになるのではないかと思います。
取材者の感想
看護学校の推薦を獲得するために、高校時代はひたむきに勉強に励んだという林さん。両親のアドバイスを素直に聞き入れ、「尊敬している」と言い切るまっすぐな瞳はキラキラとまぶしく「たくさん愛情を受けて育ったんだろうな」と想像できました。東日本大震災から10年。当時小学6年生だった女の子が看護師として歩みだしている事実には感慨深いものがありました。
ライター 齋藤真弓